世界の子どもが持つ権利を定めた「子どもの権利条約」。今年、日本は批准して30年の節目を迎えたが、子どもの権利を守るための取り組みは途上だ。11月20日の「世界子どもの日」を前に、批准国の状況を審査する「国連子どもの権利委員会」委員の大谷美紀子弁護士に日本の課題について話を聞いた。
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子どもは大人と同じ「権利の主体」
――1989年に国連で採択された「子どもの権利条約」にはどんな意義があるのですか。
条約によって子どもは独立した権利の主体であると認められたことは大変重要です。それまで国際社会の認識は子どもは特別な保護を受ける対象で、59年に国連で採択された「児童の権利に関する宣言」でも子どもは身体的、精神的に未熟で、社会が守り、世話をする存在とされています。
条約に「子どもは権利の主体」と明確に書かれてはいません。しかし、条文には子どもが特別の保護を受ける権利だけでなく、大人に認められるのと同様の権利が書かれており、子どもは単なる保護の対象ではなく、大人と同じように権利の主体だという考え方が明確に示されています。
――条約は多くの国が批准しています。子どもを取り巻く環境は変わりましたか。
子どもに焦点が当たるように…